2015年03月

「NPO法人ガンの患者学研究所」という、がん患者の会があります。元NHK ディレクターの方が中心となって、全国のがん患者の方を支援しています。

ここには、進行がんの人も、末期がんを克服した人たちもたくさん集まっています。がんを自然退縮させた方たちが、今度はがんで悩んでいる人たちを励まそうという会です。

私も全身転移するほどの末期がんから回復された何人かの方と知り合いになりました。みなさん三大治療(手術・抗がん剤・放射線)をせずに代替療法などで自己治癒した人ばかりです。

ある人は、働き盛りバリバリの営業マンで、成績を上げようと必死で仕事に取り組んでいました。仕事中心の生活で、性格もイケイケドンドン。感情的にカーッとなることもしばしばありました。

一方で、もうひとりの方は職場の人間関係に悩んでいました。その方が上げた営業成績を、上司が常務たちに報告してくれなかったために、地方に転勤させられるといった不本意なこともあったのです。

しかし、それでも頑張り屋さんは転勤先でも営業成績を上げました。「こんちくしょう」という思いを抱えながらです。そんなときに肺がんがわかったのです。

若い頃、民間療法で椎間板ヘルニアを治していた経験があったので今回も代替療法で治療することを決意します。

この治療の過程で、気持ちの持ち方がとても大事だということを知ります。「絶対に自分は治るんだ」「治してみせるんだ」、そういう強い気持ちががんを克服したのだと言います。

また、それまで「こんちくしょう」ということが多かったのですが、がんになってから「ありがとう」と言葉にすることが増えました。「こんちくしょう」という気持ちがわかなくなり、代わりに「ありがとう」という感謝の気持ちが自然とあふれてきたのだといいます。

生きていること、支えてくれる家族、友達、そして治療法を応援してくれる人たち、さまざまな人や物事に対して感謝の気持ちを伝えるようになり、がんになるまで、まるで感じたことのない気持ちを経験したと言います。がん告知から2ヶ月後、腫瘍マーカーを正常値に戻しました。

右足の親指に悪性黒色腫(皮膚がん) ができた女性も、がんを自然退縮した人の1人です。

医師から悪性黒色腫だと診断されたときは、ショックのあまり、医師の勧めに従って手術をし、足の指を切除するつもりでいました。しかし、その4、5年前にこの方の友人ががんで亡くなつていたことを思い出しました。
「手術をしないと半年しかない命が、手術をすると5年以上延命する」と言われて手術をしたにもかかわらず、結局1年で亡くなっていたのです。

友人は手術後、ずっとベッドの上での生活でした。しかも苦しみ続けて最期を迎えたと聞いたとき、自分は、「自分はがんになっても絶対に手術はしない」と決めて、がん保険の解約もしてしまっていたのでした。そのため、自然治癒療法を決心したのです。

数多くの医療機関を回りますが、自分が希望する治療を施してくれるところはなかなか見つかりませんでしあ。そんな中、やっととある診療所で自分の納得のいく治療法を指導してくれる医師と出会いました。三大治療をせず、玄米菜食や半身浴などで体を温め、治していく自然療法を進めていったのです。

同時に、「がんは自分で作ったものだ」ということを知り、自分がどのようにしてがんを作ってきたのかを考えるようになりました。そして、あるとき気づいたのです。自分がいつでも他人や周囲の人を「ばっかじゃないの」とさげすみ、欲求不満を抱え続けていたことを。それが自分の中でストレスを生み、がんを作っていました。自分の原因に気づき反省し、考え方を改めました。

それまでは目に付いていた他人の欠点が見えず、代わりに良いところばかりが見えるようになってきました。この頃から、がんは自然に退縮し、足の指を切ることなく、元に戻り、完全に治ったのです。

がんの予防法はあるのでしょうか?がんになる原因がストレスや働きすぎならば、がんにならないためには、ストレスを抱え込まないこと、仕事をしすぎないことです。しかし、「ストレスを抱え込まないなんて、無理です」「仕事の時間を短くするなんてできません」と言う人がほとんどかもしれませんね。

しかし、あなたの体はあなたが守るしかないのですから、最終的にはあなたが決断を下すしかないことです。

しかし、がんを避けようと思えば、それが必要なのです。

そのためにはまず自分の抱えている原因を見つけることです。原因が見つかったら、それを止めたり変えたりして、原因を取り除くことです。

働きすぎの人は、仕事の時間を短くし、リラックスできる時間を作ることです。ストレスの大きい悩みを抱えている人は、悩みを取り除くのが一番良いのですが、簡単にはいかないかもしれません。

しかし、悩みが病気を作るというメカニズムを理解するだけでも効果はあります。理解をすれば無意識に悩みを減らしていこうと努力するようになるからです。

もう1つ、がんから逃れるために必要なことがあります。それは、慢性疾患の薬の使用を止めることです。長期間にわたって薬を服用している人は、発がんする人が多いことがわかっています。薬による副作用の1つと言えるでしょう。

がんになる原因に、食事、喫煙、睡眠など、生活習慣が取り上げられることが多くありますが、実は、それよりももっと深い原因があります。

それは、働きすぎ、仕事の上での対人関係によるストレス、深い心の悩みによるストレスといったものです。これらはすべて、交感神経を極度に緊張させる作用があり、激しい緊張を強いられた体は顆粒球の攻撃を受けるからです。
顆粒球は、その人にとって一番弱いところから攻撃を始めます。ですから、その人にとって一番弱い部分から症状が出てきます。

これまで私は多くのがん患者さんと接してきましたが、必ず、彼らにがんになる前に強いストレスとなることがなかったかどうかが重要なポイントです。
すると、まず全員が、がんになる前に仕事や人間関係などで強い精神的なストレスを受けたと答えているのです。

たとえば、家族を亡くした人、仕事で長期間きつい労働を強いられていた人、夫婦間のトラブルや家族間の人間関係、職場の人間関係に悩んでいた人、知人にお金を貸していた人 。

理由はさまざまですが、本人にとってストレス度の非常に高いものであることは容易に想像ができます。もう1つ言えるのは、がんになる多くの人は、まじめで頑張り屋さんであることです。仕事で手を抜けない、適当に息抜きできない人が、気が付いたらがんになっていたという話を頻繁に耳にします。

がんになる人は、大きなストレスを抱え込むために、交感神経が長期間にわたって緊張した状態になります。正常な状態だと、交感神経と副交感神経が交互に働くので、顆粒球による攻撃で細胞に炎症が起きても、リンパ球がそれを治癒しようと働くはずです。

ところが、交感神経の緊張があまりに著しいと、副交感神経が抑制されてしまい、リンパ球も同時に減少してしまいます。治癒のしくみが働かなくななってしまうのです。

また、交感神経緊張が長期間続くと、顆粒球が過多になって脈拍が上昇し、高血糖、腰痛、肩こり、不眠、慢性疲労など複数の症状が出てきます。顆粒球が過多になると、組織を攻撃し、炎症を起こすことはすでに説明したとおりです。

加えて末梢の血管収縮も起こし、これが血流障害を招きます。ですから、がんになつた人は一様に顔色が悪いのが特徴的です。

また、ガンになった人というのは、ただでさえ、日常のストレスが元で体は痛めつけられています。それなのに、さらに悪いことには、その状態で検査を重ね、医師の宣告が加わることで、もっと精神的な不安が大きくなってしまうということです。

これでは、体は余計に交感神経緊張状態を強いられてしまいます。体をより痛めつけるだけです。

また、医師の宣告は、予想をはるかに超えるストレスだということです。宣告の際に、「生き方を変えたらがんは治るんだよ」と医師が励ましてくれればいいのですが、残念ながら西洋医学の中で、私の考え方を採用する先生方はまだまだ少ないのが現状です。これまでさんざん無理を重ねてしまって病気になったというのに、時には余命宣告までされてしまい、患者さんはものすごく落ち込み、深い悩みの世界に入っていきます。これでは、治るものも治らなくなってしまいます。

健康な体にストレスが加わるとどうなるでしょうか。交感神経優位の状態が続くと、緊張状態になるため、神経が高ぶります。
これが短期間なら活動的でいいのですが、長期間にわたって交感神経が優位のままだと、怒りつぽく、イライラしたり、気持ちが落ち着かなくなってきます。

反対に副交感神経が優位の状態が続くと、リラックスしていますから、体にはとてもいいのですが、これが長く続きすぎると、ぼんやりしたり、急な刺激に対応できなくなります。

つさらに注目したいのが、自律神経と白血球の関係です。自律神経の働きが白血球に影響することが確認されています。

白血球には主に異物を食べて処理する顆粒球と、異物を免疫で処理するリンパ球があります。

顆粒球は交感神経の支配を受け、リンパ球は副交感神経の支配を受けています。交感神経が緊張すると筋肉が緊張し、分泌の働きが抑えられますが、この状態が続くと、白血球の中に含まれている顆粒球の量を増大させます。

顆粒球は、体内に侵入した異物を撃退する働きがあり、その際に活性酸素を出します。活性酸素は、免疫、発がん、老化などの原因となる有害な物質です。

つまり、交感神経優位の状態が長時間続くと体内で有害物質が増えて、組織の炎症を引き起こしてしまいます。そこから、さまざまな病気を誘発することになるのです。一方、副交感神経が優位になると、体はリラックスし、血液中のリンパ球が増加します。

リンパ球は、免疫力があり、傷ついた細胞を回復する働きがあります。

例えば風邪をひいた直後は、顆粒球が減少し、リンパ球が増加します。リンパ球の働きが優位になりますから、脈が遅くまったろ、体がだるく感じます。さらに鼻水や汗など、分泌現象も盛んになります。これは、リンパ球が熱や痛みと戦っている状態です。
そして、リンパ球がウイルスに応戦し、勝利をおさめた後に再び顆粒球が増加します。交感神経が優位になるため、回復した体が活動的になるのです。

つまり、病気にかかり、それが治るときは、「顆粒球反応が起こった後にリンパ球反応、その後は顆粒球反応」というように、2つが交互に優位、劣勢を繰り返します。これが、自律神経が正しく働いている場合に体が起こす自然な反応です。

ところが、このバランスが崩れると、顆粒球とリンパ球のバランスにも影響を及ぼします。どちらかが優位であるときは、もう片方は劣勢です。劣勢の方は量が少ないため、力を充分発揮することができ閉ません。
そしてそのまま優位に転じることができない場合、病気が治癒でき感染ないまま悪化の一途をたどるということにもなります。
悪化が進むと、最終的には細胞が炎症を起こした部分ががん化します。

人はなぜ病気になるのでしょうか?多くの病のすべての原因は免疫にあります。免疫は心の状態と深く関係があります。心の状態が良好なとき、免疫力は高いのですが、心が暗くなったり落ち込んだり、怒ったりすると、精神状態が不安定になり、免疫力が低下します。

また、体は自律神経によって均衡が保たれています。自律神経は、血管や内臓といった分野の働きに作用するものです。自律神経は交感神経と副交感神経から成り、この2つが適切にバランスをとることで、健康を維持しているのです。

交感神経は運動したり、興奮するなど活動的な働きをうながす神経で、副腎でアドレナリンというホルモンが分泌されます。すると、全身の筋肉に大量の血液が送られて、脈を速くします。しかしその分、内臓に送られる血液が少なくなり、内臓の働きが鈍くなるという作用もあります。

反対に、寝るときや、食べるとき、リラックスするときに働くのが副交感神経で、その神経末端でアセチルコリンというホルモンが分泌されます。これにより、気持ちが穏やかになり、脈はゆっくりになり、内臓への血流が良くなります。

緊張しているときに食事をすると胃が痛くなったりするのは、交感神経の働きが活発なため、消化器官への血流が不足しているからです。

逆に副交感神経が活発でリラックスしているときは、消化管機能が順調に働いているのです。

また、体がリラックスしているときは、体内で分泌、排泄が活発になります。涙、クシャミ、咳、唾液、尿など体から分泌物が外に出るときは、副交感神経が優位に働いているときなのです。

このように、体は、日々の生活の中で、無意識に交感神経と副交感神経をバランス良く働かせることで、心身の健康を保っています。ですから、逆にこの2 つのバランスが崩れると体の変調が始まるのです。

東洋医学はこの自律神経の安定を非常に重視します。健康に直接的に影響を及ぼすのです。

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