がんになる原因に、食事、喫煙、睡眠など、生活習慣が取り上げられることが多くありますが、実は、それよりももっと深い原因があります。

それは、働きすぎ、仕事の上での対人関係によるストレス、深い心の悩みによるストレスといったものです。これらはすべて、交感神経を極度に緊張させる作用があり、激しい緊張を強いられた体は顆粒球の攻撃を受けるからです。
顆粒球は、その人にとって一番弱いところから攻撃を始めます。ですから、その人にとって一番弱い部分から症状が出てきます。

これまで私は多くのがん患者さんと接してきましたが、必ず、彼らにがんになる前に強いストレスとなることがなかったかどうかが重要なポイントです。
すると、まず全員が、がんになる前に仕事や人間関係などで強い精神的なストレスを受けたと答えているのです。

たとえば、家族を亡くした人、仕事で長期間きつい労働を強いられていた人、夫婦間のトラブルや家族間の人間関係、職場の人間関係に悩んでいた人、知人にお金を貸していた人 。

理由はさまざまですが、本人にとってストレス度の非常に高いものであることは容易に想像ができます。もう1つ言えるのは、がんになる多くの人は、まじめで頑張り屋さんであることです。仕事で手を抜けない、適当に息抜きできない人が、気が付いたらがんになっていたという話を頻繁に耳にします。

がんになる人は、大きなストレスを抱え込むために、交感神経が長期間にわたって緊張した状態になります。正常な状態だと、交感神経と副交感神経が交互に働くので、顆粒球による攻撃で細胞に炎症が起きても、リンパ球がそれを治癒しようと働くはずです。

ところが、交感神経の緊張があまりに著しいと、副交感神経が抑制されてしまい、リンパ球も同時に減少してしまいます。治癒のしくみが働かなくななってしまうのです。

また、交感神経緊張が長期間続くと、顆粒球が過多になって脈拍が上昇し、高血糖、腰痛、肩こり、不眠、慢性疲労など複数の症状が出てきます。顆粒球が過多になると、組織を攻撃し、炎症を起こすことはすでに説明したとおりです。

加えて末梢の血管収縮も起こし、これが血流障害を招きます。ですから、がんになつた人は一様に顔色が悪いのが特徴的です。

また、ガンになった人というのは、ただでさえ、日常のストレスが元で体は痛めつけられています。それなのに、さらに悪いことには、その状態で検査を重ね、医師の宣告が加わることで、もっと精神的な不安が大きくなってしまうということです。

これでは、体は余計に交感神経緊張状態を強いられてしまいます。体をより痛めつけるだけです。

また、医師の宣告は、予想をはるかに超えるストレスだということです。宣告の際に、「生き方を変えたらがんは治るんだよ」と医師が励ましてくれればいいのですが、残念ながら西洋医学の中で、私の考え方を採用する先生方はまだまだ少ないのが現状です。これまでさんざん無理を重ねてしまって病気になったというのに、時には余命宣告までされてしまい、患者さんはものすごく落ち込み、深い悩みの世界に入っていきます。これでは、治るものも治らなくなってしまいます。