健康な体にストレスが加わるとどうなるでしょうか。交感神経優位の状態が続くと、緊張状態になるため、神経が高ぶります。
これが短期間なら活動的でいいのですが、長期間にわたって交感神経が優位のままだと、怒りつぽく、イライラしたり、気持ちが落ち着かなくなってきます。

反対に副交感神経が優位の状態が続くと、リラックスしていますから、体にはとてもいいのですが、これが長く続きすぎると、ぼんやりしたり、急な刺激に対応できなくなります。

つさらに注目したいのが、自律神経と白血球の関係です。自律神経の働きが白血球に影響することが確認されています。

白血球には主に異物を食べて処理する顆粒球と、異物を免疫で処理するリンパ球があります。

顆粒球は交感神経の支配を受け、リンパ球は副交感神経の支配を受けています。交感神経が緊張すると筋肉が緊張し、分泌の働きが抑えられますが、この状態が続くと、白血球の中に含まれている顆粒球の量を増大させます。

顆粒球は、体内に侵入した異物を撃退する働きがあり、その際に活性酸素を出します。活性酸素は、免疫、発がん、老化などの原因となる有害な物質です。

つまり、交感神経優位の状態が長時間続くと体内で有害物質が増えて、組織の炎症を引き起こしてしまいます。そこから、さまざまな病気を誘発することになるのです。一方、副交感神経が優位になると、体はリラックスし、血液中のリンパ球が増加します。

リンパ球は、免疫力があり、傷ついた細胞を回復する働きがあります。

例えば風邪をひいた直後は、顆粒球が減少し、リンパ球が増加します。リンパ球の働きが優位になりますから、脈が遅くまったろ、体がだるく感じます。さらに鼻水や汗など、分泌現象も盛んになります。これは、リンパ球が熱や痛みと戦っている状態です。
そして、リンパ球がウイルスに応戦し、勝利をおさめた後に再び顆粒球が増加します。交感神経が優位になるため、回復した体が活動的になるのです。

つまり、病気にかかり、それが治るときは、「顆粒球反応が起こった後にリンパ球反応、その後は顆粒球反応」というように、2つが交互に優位、劣勢を繰り返します。これが、自律神経が正しく働いている場合に体が起こす自然な反応です。

ところが、このバランスが崩れると、顆粒球とリンパ球のバランスにも影響を及ぼします。どちらかが優位であるときは、もう片方は劣勢です。劣勢の方は量が少ないため、力を充分発揮することができ閉ません。
そしてそのまま優位に転じることができない場合、病気が治癒でき感染ないまま悪化の一途をたどるということにもなります。
悪化が進むと、最終的には細胞が炎症を起こした部分ががん化します。