現代人は、考えることや覚えること、やらなければならないことが多すぎて、毎日が慌しく過ぎていきます。
何を優先すべきかを考えるだけで疲れてしまいます。

そんな日常生活の中で、ともすると私たちは「感じる」ことに極度に鈍感になっています。

「感じる」とは、やわらかい、かたい、ザラザラしている、ツルツルしているなどの皮膚を通して伝わるものや、さわやかな香り、穏やかな香り、甘い香り、スパイシーな香りなど、鼻を通して伝わるものなどがあり、味覚・触角・喚覚・聴覚・視覚という5 つの感覚を通して伝達されています。

時々、眠れなくて困っている人がアロマの香りを寝室に取り入れただけでぐっすり眠れる人がいます。香りが脳にダイレクトに働きかけ、副交感神経が優位になったからでしょう。ラベンダーを育てるのもいいかもしれません。

人間は大脳辺練糸で発する本能の欲求を、理性(大脳新皮質) がある程度抑制することで、うまく均衡を保って人間らしい営みを行っています。しかし、「~しなければならない」という理性の働きが強すぎて、「~したい」という本能の欲求を、我慢して、無視し続けていると、自律神経のバランスを崩して不眠やからだの不調を生じます。

そんなときには自然の中に身を置いて、曇ってしまった感覚を取り戻しましょう。力強い陽射し、深い緑の香り、風の音、刻々と変化する大自然の中で、裸足で地面を歩いたり、植物を観察していると、ふだんあまり使っていない感覚を取り戻していることを実感するでしょう。

自分が地球の一部であることを体感すると、ふだん悩んでいることがちっぽけなことのように思えます。すると心地よさを感じるアンテナが磨かれて、眠りのスイッチが入りやすくなるのです。

野山に出かけたら、ハンモックでのお昼寝もおすすめです。背中から地球の呼吸を感じながら宙に漂っている自由さ、しかもハンモックに包まれている安心感は、言葉では言い表せない心地よさがあります。眠るときには五感を通して「心地よい」感覚を持つことが大切です。

心地よいと感じることで心身がリラックスをして棲み、その先が「眠り」へと続いていくのです。出かける時間がないときには、心地よかった体験を思い出してみましょう。イメージしながら眠りにつくと、知らぬ間に緊張が解けて夢の中にいることでしょう。